歩物語・試:静岡 谷津山紀行1
本日もブログ訪問ありがとうございます!
ブログをもう少し物語風に綴れないかを修業してみたくなり、新カテゴリとして「歩物語」を作ってみました。初めからうまくいかないかもしれませんが、暖かく見守ってください(最後の『試』は試作、試行の意味です)
写真は本物(実際にコースの通りに歩けます)、文章はほぼノンフィクションですが、所々にフィクションが入ってます。予めご了承ください
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
1月の中旬、全国的に積雪被害出ている日に久しぶりに静岡に帰ってきた。
朝から雪の被害を告げるニュースがあり、早めに自宅を出て「こだま号」に乗車したが、やはり小田原駅を出発する時に後続の「のぞみ号」が遅延しているとのことで、追い越しを待つたったため8分程度発車が遅れた。
車内の電光掲示は『浜松~新大阪間で徐行のため30分~1時間遅延している』と告げている。
『これからもっと遅れていくのだろうか、遅くならなければいいが…』
心配を余所に、少しの遅れだったため、途中駅で追い越しされる際の待ち時間が逆に短くなっただけで、静岡駅に着いた時には定刻通りになっていた。
面白いこともあるものだ。
遅れを想定して家を出たため予定よりかなり早く到着した上に静岡は晴天である。
『天気のいいうちにお墓参りに行こう』
そう思い立ち、静岡鉄道 新静岡駅にやってきた。
相変わらず、まるちゃんとたまちゃんが笑顔で出迎えてくれる。それだけでも和む駅である。
すぐに到着した電車に乗り、長沼駅へ向かう。
車内を眺めていると小冊子が置かれているのが目に入った。
『とうとう「さわやかウォーキング」を静鉄も始めたのか』
と微笑みながら、冊子を手に取ってみると『うきうきウォーク』と書かれている。静岡鉄道沿線の散策コースを紹介している全く別のマップだった。
パラパラとめくってみると、これから行く長沼駅を起点にした「らくらく谷津山ウォーク」というコースが紹介されている。約3.1Km、まだお詣りしたことがない愛宕神社もコースに含まれている。
『天気もいいし、お墓参りが終わったら少し歩いてみるか』
乗車時間約6分で5駅目の長沼駅に到着した。静岡鉄道の乗車時間は短い。
まずは最初の目的通り、お墓参りを済ませなければ。
いつも通り、バンダイの横を通って霊園を目指す。
途中病院の前で仮面ライダーのポスターを見つけた。
『小児科医は子どもたちのヒーローだ』、そうか研修医という設定は病院嫌いの子供達に向けたメッセージなのかもしれないと改めて感心してしまう。
お墓まではそれほど遠くない。
霊園に入ると、日曜日ということもあり、お墓参りをしている家族連れも見かける。
いつも通り箒と塵取りを貸してもらい掃除から始める。
お墓の廻りに箒で掃き出すのが難しい小さな落ち葉や花びらが多く、一つずつ手で拾っていたため、思いのほか掃除に手間取ってしまった。
狭い墓の廻りで変な姿勢を長時間続けたこともあり、ちょっと腰が痛くなってしまったが、お墓をきれいにし無事お参りも済ませたので、なんとなく気分がよくなってきた。
時刻はまだ14時半少し前。
少しずつ日射しが傾いてきて寒さも増してきたような気がするが歩くのにはちょうどいい。
改めてマップを見てみると、駅からの道の横にルートがオレンジで描かれていて、もう1つ道があるように見えるが、そんな道は存在しない。
登り口に行くには、どこで曲がればよいかの目印も描かれていない
『う~ん、最初から難航しそうだ』
今までも少し不親切なマップを見ながら歩いてきたことはあるが、これは度を超している。
地図の道の曲がり具合から推測して、おそらくセブンイレブンの角を入っていくに違いない。まあ間違っていたら戻ってくればいいだけだ。
少し予想はしていたが、真っ直ぐ進んだ先に登り口はなく、T字路があるだけだった。ここは山勘でまず左に行ってみるか。
『今日はついている』
すぐに緑色をした看板が見つかった。
『神社のある愛宕砦の森まで約300m 約15分か、そんなに時間はかからないな』
整備された山道を登り始めて、すぐに鳥居があった。山自体が愛宕神社の神域になっているようだ。いつも通り鳥居の手前で一礼をしてからくぐる。
神社の参道は真ん中を歩いてはいけないが、狭い山道では仕方ない。失礼を承知で真ん中を登っていく。
かなり急な登りになっている。登り始めて2分ほどなのに、かなり高いところまで上がってきてしまった。
『300mで15分って時速1.2Kmじゃないか』
登り口にあった看板の数字の意味に今更ながら気づく。苦手な山道で息が上がってきた。
愛宕砦の森と書かれた道案内の少し先にあるベンチ。まだ数分も登っていないが、ここで一休みしたくなる方もいるだろうという配慮のようだ。
『こんなところで休みたくなるようじゃまだまだだな』
延々と続くように見えた急な登り坂も終わり、平坦な狭い道に変わる。かなり上がっていた息も平常に戻ってくる。
少し歩くと石段が見えてきた。『ご祈祷受付』と書かれた垂れ幕もある。ここが愛宕神社なのだろうか?
周囲を探してみるが、広場があるだけで神社は見当たらない
『ここまで一本道だったし、迷うはずはないのだが…』
周囲を探していると細長い一本のレールのようなものがある。
『なんだろう?』
しばらく眺めて見たがさっぱりわからない。
最初はご祈祷受付の建物で見えなかったが、小さなお社が並んでいるのが見える。
『これが愛宕神社? まさかね』
お社の前まで進み、二礼二拍一礼をし、感謝の意を示す
石段のところまで戻ってくると石段は上にも続いていた。
苦笑してしまう。やっぱり少し疲れていたのか体が下りを選んでしまったようだ。
『伊勢神宮のおふだを宣伝するのは静岡の神社の特徴なのか?』
東京や神奈川県の神社ではあまり見ない。特に伊勢神宮への信仰がある土地でもないと思うので謎である。
石段の先には立派なお社が建っていた。小さいが拝殿の後ろには本殿もある。
いつもの通り感謝の意を伝え、これからの導きを願ってお詣りを済ませる。
こんな高い場所にある神社にお詣りする人がいるのだろうかと思っていたら、すぐに二人やってきた。一人はハイキングしているような服装、もう一人はジョギングの最中らしい。私と同じくコースの途中で立ち寄る人が多いのだろう。
下の広場で見かけた細いレールは拝殿の横で終わっていた。よく見ると下側にギザギザがあり、何かの機械を使って荷物をここまで運んでくるためのレールのようだった。車の入れない山の上まで荷物を運ぶのはやはり大変なのだろう。
石段を下り先へ進む。綺麗に整備された道が続いている。今まで登ってきた道が裏参道で、これから歩く道が表参道のようだ。
『また裏からお詣りしてしまった』
参考にしているコースマップには書かれていないのでわからないし、自分の都合で逆から歩いているので仕方ないが最近多い。
『秘境?』
市街地から10数分で来れる場所が秘境というのは違和感があるが、目を閉じ耳をすませてみる。
周囲に何かがいるような気配を感じる。不思議と寒気は感じない。
参道はまだまだ続いていたが、次の目的地 郷土の森へはここで左に入るらしい。
近くにあった地図を確認する。現在地は3の示す場所らしい。でも登り口で見た地図とはどこか印象が違う。
参道とはあまりにも異なる狭い山道が続いている。
道端には『たまねぎ石』と書かれた説明が立っている。奥三河で見かけた、たまねぎ石だ。
『実際にはこんな場所にあるのだな』
もっと山奥の採掘場みたいな場所でないと見つからないと勝手に思っていたので、市街地近くの山にあることが新鮮だった。
アップダウンは少ないが、狭い山道の中を歩いて行く。
時折ガサガサと周囲から音がする。鳥か小動物かがいるようだ。いきなり動くような音に時々吃驚させられる。少し心臓に良くない。
いきなりドンッと大きな何かが落ちるような音。小動物ではなさそうな雰囲気。
ふいに静岡浅間神社には猪注意の看板があったことを思い出す。
『まあ熊とかいないだろう…。本当にいないよな…』
こんな場所で熊とか猪に襲われたら逃げられない。一巻の終わりになってしまう。貧弱な想像力でも恐怖心を煽ってくる。
急に心細くなってきた。
(続く)
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普段と比べると写真の数はほぼ同じ、文章量多めなのでかなり時間がかかります。とりあえず、今回はここまで
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