歩物語・試:静岡 谷津山紀行2
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ブログをもう少し物語風に綴れないかに挑戦しています、暖かく見守ってください(最後の『試』は試作、試行の意味です)
前の記事「歩物語・試:静岡 谷津山紀行1」
からの続きです
写真は本物(実際にコースの通りに歩けます)、文章もほぼノンフィクションですが、所々にフィクションが入ってます。予めご了承ください
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
分岐にある道案内板に従って右側に進む。ほとんど一本道なのだが、時折迷子になっていないか不安になってしまう寂しさがある。
少し広い場所で反対側から来る人達とすれ違う。
小学生ぐらいの子供数人と付き添いの若い女性が一名。学校の先生だろうか。広い場所だが道は狭く、脇に避けてすれ違う。
挨拶をすると挨拶が返ってくる。
自分が間違った道を歩いているのではないとわかるだけで、ものすごく安心できる。
狭い道を少し登っていくと小さな立て札があった。振り返って確認すると『七面山 観音堂跡』と書かれている
『10mか、せっかくだから行ってみるか』
なれない山道で少し疲れていたが、行ってみないと後悔してしまうかもしれない。
10mも歩かなかった。道の行き止まりには小さな石が置かれていた。なぜ観音堂があったのか、そしてなぜなくなったのか、なんの説明もなく、ここで何があったのか全くわからない。
「歴史にも残らない、そんな時代の流れもあるよ」と囁くように石が語りかけてくるような気がした。
狭い道を進んでいくと、道が分かれている。右が次の目的地である郷土の森、左に行くとその次の目的地 ピクニック広場となるようだ。
『手書きで書いてあるライオンなんとかってなんだ?』
檻みたいにも見える。
矢印の方に進んで行くと青い看板がある。正しくはライオン砦らしい。どう好意的に解釈してもさっきの字は『砦』には見えなかった。
狭い道を少し上がったところにあったのは子供用の遊具だった。数人の子供が楽しそうに遊んでいる。
『これがライオン砦か』
苦笑。石造りのライオン像に似た建物を勝手に想像していたが、全く違った。確かに砦っぽいが、どこがライオンなのか全くわからない。
ふと東の方を見ると富士山が綺麗に見える。
頂上付近には雲がかかっていたが、ここは電線などの障害物もなく、クリアーに富士山を眺めることができる絶景ポイントだった。
それにしても富士山を眺めることができると落ち着くのは何故だろう。
『富士信仰が流行したのもわかる気がする』
富士山を拝んで清々しい気分になり、元来た道を戻ってくる。
いきなり目に入る『スズメバチ注意』の文字。
今は冬だからいないが、こんなに狭い道だから避けるのは難しい。子供達の遊び場の近くなのにスズメバチとは意外にも安全な場所ではないのかもしれない。
先ほど分かれ道に戻り、ピクニック広場を目指す。ドアがなく柵だけが残った入口を入ると少し広い場所に出てきた。
『ここがピクニック広場?!』
とも思ったが、お弁当を食べるにしてもかなり狭い。どうやら違うようだ。
右側が柵になっている狭く急な道を下ると右側にグランドのような場所が見えてきた。
『ここがピクニック広場なのか? まるで学校のグランドだ。味気ないな』
柵は右側になったが延々と続いている。グランドに入る入口が見つからない。
誰かに割られてしまったのか、欠けた道案内では場所すらわからない。ハイキングコースという感じがしなくなってきた。どこかで道を間違えてしまったのだろうか。
欠けた道案内を補うように樹の根元にくくりつけられた案内には目指しているピクニック広場の表示はない。そして柵にあった扉には『上水道施設』の文字。
『違った! そうじゃないかと思ってたんだよ』
と負け惜しみをつぶやいてみる。じゃあ今どの辺を歩いているんだろう。やっぱり迷ってしまったのか。
いつもそうなのだが、疑問や不安より好奇心が勝ってしまう。
ここにも荷物を運ぶためのモノレールがあるようだ。『上水道施設』へ荷物を運ぶためのものがきちんと整備されているようだ。それにしてもなぜ車の入れない、こんな場所に施設を建てたんだろう。
曲がりくねったレールでどれだけのものが運べるのか一度見てみたい。
少し進むと3つの道につながる分岐にやってきた。行き先の一つに護国神社が書かれている。ようやく貰ってきた『うきうきウォーク』の地図と比較してみる。
『まだこんな場所なのか…』
コースとしては正しく歩いていたようだ。かなり歩いてきたつもりだったが、全体の半分もまだ歩いていない。急に疲れがおそってきた。
さらに進んだ先にあったのは『沓谷二丁目』という道案内。
『なんなんだ、ここは?!』
ここは山の中ではなく、実は街中で、狐か狸に化かされているだけじゃないかとか思ってしまう。
再び登り坂となり、鬱蒼とした木々の間を抜けた場所は、静岡市街を見渡せる場所だった。迷っているんじゃないか、化かされてるんじゃないかという不安もなくなり、開放感でいっぱいになる。
『ここがピクニック広場か』
確かにここでお弁当を食べたら美味しいだろう。さっきセブンイレブンでおにぎりか何かを買ってこなかったことを少し後悔した。
『食べ物のことを考えると急にお腹が空いてくるのは何故なんだろう』
広場の反対側に廻って景色を眺めて見る。広がる住宅地とビル。本当に住宅地の真ん中にある小高い山である。
日が落ち始めているように感じたので、西日の方へ先を急ぐ。平坦だけと狭い道が続いている。疲れてきた足が少しもつれるので、注意して歩かないと滑り落ちてしまいそうになる。
少しずつ勾配を増していく坂道を登っていく。また息が上がり始めるが、次の目的地である『清水山公園』の文字に励まされながら先を急ぐ。
日が傾くにつれて、少しづつ気温も下がってきているようだ
石垣のようなものがあり、グルッと廻ってみると鳥居もある小さな広場に出てきた。
『ここが谷津山古墳?』
古墳跡という感じはほとんどない。
古墳時代(4世紀)の前方後円墳だったらしい。江戸時代、明治時代と掘りかえされ、副葬品などは散逸してしまったと書かれている。それほど興味があるわけでもなく、自分のものでもないのに残念な気がする。
古墳に埋葬されていた廬原国の首長を鎮めるためなのだろうか、近くには小さなお社が3つ並んでいた。何か強い力を感じて、思わず手を合わせてお詣りしてしまう。
谷津山古墳から少し先に進むと見晴らしの良い場所に出た。近くにある説明を読んでみる。
『もしかすると桜の名所なのか』
冬なのでどんな風景になるのかが全く想像がつかない。桜の花の向こうに静岡市街を眺められる場所なのだろうか。また春に来てみたくなった。
それにしても『昭和六十四年四月』は存在しなかったなと苦笑いしてしまう。こういう説明板は一度建てたら直さないものらしい。
『なんだこれ?! 静岡市上空に現れたUFO?』
唐突に現れた無造作に貼られたDVDに驚く。狐や狸に化かされるだけじゃなくて、ここは宇宙人にアブダクション(誘拐)されてしまうような場所なのか…。
さっきとは別の意味で不安になってきた。
少し先にあった休憩所横の地図で現在地を確認する。ゴールの清水山公園まではまだ30分もかかるらしい。
『今度は古墳とUFO? 谷津山古墳上空に現れたUFO!?』
静岡市上空から谷津山古墳上空とさらに場所がピンポイントになったDVDがまた貼り付けられている。
休憩所のテーブルの上に散在する宇宙人と遭遇する映画のDVDたち。
『UFOマニアの集会場? それとも宇宙人が人類を誘ってる?!』
これでDVDプレイヤーがあれば、DVDを見た途端にテレビに吸い込まれてしまうとか、何か危険なトラップのように見えてしまう。さっきまで落ち着いた場所に見えた休憩所が途端に怪しく感じる。
触らぬ神ならぬ宇宙人に祟りなし。とりあえず急いでこの場を離れよう。
疲れていたが急ぎ足で山道を進んだ。まあここまで離れれば大丈夫だろう。
ひと息ついて思う。谷津山は思った以上に不思議な場所だ。
(続く)
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
ところどころフィクションを入れつつ文章で綴っていくという作業は思った以上に難しいです。歩いている時に妄想していることなのですが、これも記録していかないと書き上げるのは難しいですね
次の記事
で完結です
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